摩天楼
黴黴黴黴黴黴黴黴。
その摩天楼はカビで満ちていた。
旧リゾートホテル。屋外プールにも、屋内プールにもカビが広がる。
「赤ちゃん、赤ちゃん、赤ちゃん」と狂人が踊る。
ダイヤモンドの光が御守りになる。
人間の叡智を見くびるなと、加工された宝石の光学が、理性を助ける。
無明なり、無明なり、無明なり。
千の遊女を食い物にする女衒が、今宵も黴の歌を歌う。
aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa
ここに神曲を明らかにしよう。
ベアトリーチェは鼻曲がりの吸血鬼なり。
つまり、「世界一の出版物である聖書の著作権」を目当てにする無神論者。
コキュートス、ジュデッカ。
そこに響き渡る「声」は、一体、誰のものだろうか。
真実はブルータスの中に。
蛾の群れのようなローマ軍とは、さて、誰の言葉だろうか。
神罰はピラミッドに記されるのみ。
アヌビスの歌は聴く莫れ。
太陽と巨人は、免罪符にならず。
世迷言の錬金術は、損害を受けてからが真実となる。
損をしていない錬金術師ほど、嘘吐きな連中はいないのである。
騎士道は、常に錬金術に迷ってきた。不潔ゆえに、判断力が鈍っていたのだ。
忠実なる下僕を求めて、どうして、遊郭に行くのだろうかと。
人食いどもへの警戒心は、つまり、貴族主義への疑問となる。
捨てられぬプライドとは、言葉であるべきなのか、態度であるべきなのか。
黴の生えた説教など、最早、通用しさえしない。
阿鼻叫喚の地獄絵図など、娯楽にもならない。
ただ、必要なのは、友愛であった。